桐マウスVer1.0

九州の(株)総桐箪笥和光様から最高級の桐材を提供していただける事になり、桐でマウスを作ることになりました。今回使用する桐材は、製材後に灰汁抜きや長期間の乾燥を経た素人が使うにはもったいない逸品です。
今回犠牲になるマウスは・・・もとい! 今回桐の外装をまとうマウスは、FMV'97年秋モデルに標準添付されていた極普通の2ボタンマウスです。製作に当たって頭の中でシミュレーションしてみましたが、加工の精度もさることながらかなり工夫しないと完成には至らないようで存分に楽しめそうです。
マウスを分解し、無い知恵を絞る!
荒削りをする前に簡単な図面を起こしました。
荒削りは、仕上がり寸法よりも数ミリ大きく削り、大体の形が現れ てきました。内側から削った方がやりやすそうでしたが、桐製上ケースの最も薄い部分は3mm程度になる事が分かっていたので、外側を削る際に強く握ってバキッ!っと割れてしまう可能性が高く、外側の荒削りを先に行いました。次に桐製上ケースのなかぐりを行いました。彫刻刀を使ったのですが、全く歯が立ちません。仕方なく全部研ぎなおしました。
なかぐりが一段落したところで、下ケースに合わせて習い切りしま した。ここまで来てようやく仕上がりが見えてきました。
後はボタ ンの工作です。桐製の上ケース外面はほぼ仕上がっている状態なので、曲面に鋸を入れなければなりません。手順 に問題がありますね。それでも何とかボタンの部分をカットできま した。初めは、ボタンを別の桐材から削り出す予定だったのですが、細工用の鋸を使用したためカットした部分をそのまま使うことがで きました。木目がずれないので手間が省けます。ボタンの工作は意外と簡単に終わりました。(加工技術の問題でボタンのデザインを変更しました)
この段階で、先に外面の仕上げをします。
ボタンは、上ケースの定位置に遊びを持たせた状態で固定し、かつ、 最適なクリアランスも設けなければなりません。既製品のマウスは、ボタンとジョイント部分が一体整形されていますが、今回は下敷きを加工した板バネを使う事にします。桐材とプラスチック製の下敷きをより確実に接着するため、全面ペーパーがけをし、更に小さな穴を多数設けいています。また、熱加工で適当に角度をつけています。
次にボタンとスイッチの接点です。ここが正念場です。マウスのボタンに使われているスイッチは、ストロークが1mmに満たないので、非常にシビアな加工が要求されます。とうとうノギスまで持ち出す始末です。とは言うものの、外から見えない隠れた部分なので的確にクリックができる事だけに注力します。
どうにか桐マウスが完成しました。下ケースは加工せず既存の状態なので、正常に動作します。
組み立て後、実際に使ってみましたが、想像以上に手になじみ使いやすいです。何と言っても桐製のマウスパッドとお似合いです。
 

ome